千葉県の真ん中、茂原市にあるサーキット。田舎だが高速ICから近くて、アクセスするには中々の好立地だ。
ここはその名の通り、2つのサーキットで構成されているご立派なモータースポーツ施設である。美しい東の全長1170メートルロングコース(反時計回り)は主に4輪やバイク専用らしい。この日は四輪の方々が豪快なドリフト走行をブッかましていた。
しっかりとした観客席も完備されていて、見応え充分な爆音ドリドリをボーっと眺めているだけでも楽しい。
西の全長700メートルのショートコース(時計回り)は主にカート、ポケバイ、ミニバイク専用とのこと。レンタルカートはもちろん西ショートコースを使用する。
なお、レンタルカート開放は基本的に昼休みの枠だけで、尚且つ事前予約制である。
使用マシンはビレルN35にスバルの210cc。
特にライセンス方式などのやり込み要素は無さそうな気配で、施設内にも説明書きは見当たらない。レンタルカートの価格表すら見当たらない(汗)
サイトによるとレンタルは10分で2500円なり。まあ標準的か。
で、よーくサイトを見てみればビレルで基準タイム(1周42秒以下)をクリアすれば、KT100に乗れるとのこと!
おおーっと、いよいよKT童貞卒業か??
大井松田で果たせなかった願望を成し遂げるチャンスが早速到来かも??
こりゃ頑張らにゃいけませんぜー!!(KTの予約はしてないけど大丈夫か…?)
さて、ショートコースとは言えど、全長700メートルもあればレンタルカートなら長めの贅沢な部類だ。左右対称っぽいレイアウトで覚えやすそう。綺麗な東ロングコースと異なり、西ショートコースは路面が割と荒れている印象。さてさてどんな走り心地なのでしょーか。
いぶし銀のおじ様(オーナー様?かどうか定かではない)に聞けば、ビレルのレコードタイムはほぼ40秒フラットとのこと。39秒台は出たことが無いとおっしゃる。
なんとなく目指すべきタイムが判明したところで、早速N35に乗り込んだ。
1回目は4号車に乗車。颯爽と出て行くが…
ん??
ピットロード出口からいきなり違和感が。ステアリング位置はニュートラルになのにズルズル左に行きたがる。おっーとこれは妙なクセがついたマシンに当たったんじゃないの?
おまけにステアリングがやけに重い。N35ってこんなに重かったっけ?フロントのキャンバー角がキツいのかどうかは分からんが、切るのにパワーが要る。まあ走れないことは無いけど。
とはいえ、数周するうちに左に寄って行くクセは何故かスッと消えていった。自分の思い違いだったんだろうか…
1コーナーはアクセルベタ踏み。ラインによってやや滑りがちで危ういが、アクセル微調整でなんとかなる。
2コーナーはスピードの乗ったところからドーンとブレーキング。真っ直ぐの姿勢からブレーキングしないと挙動が乱れてワナワナする。イン目に立ち上がるか、アウト側を目一杯使うかは悩みどころ。N35ならアウト側を使わないほうが結果的にタイム短縮に繋がるのか?
続く3コーナーはこのコースで最も鋭角なヘアピン。しかし然程スピードが乗っていない状況なので軽いブレーキングで頭をスルリと入れ、立ち上がり重視でクリアしたい。
バックストレッチ真ん中で、このコースの折り返し。後は、前半の逆回りのレイアウト。
4コーナーもヘアピンだが、3コーナーのヘアピンよりやや大きめ。しかしトップスピードからの進入になるので3コーナーより俄然難易度は高い。すぐに5コーナーも控えており、いろんなライン取りを試す必要がありそうだ。繊細なブレーキングとステアリング操作が必要。スピン危険地帯。何度か回っちまったわい(汗)
5、6コーナーはベタ踏み。全般的にスリッピーなのでグリップを失いそうなギリな感じ。特に6コーナーの入り口あたりか。安定すればあとはメインストレート出口まで無心にアクセルを踏む。
そんな感じで走った1本目のベストは41秒353。滑りやすくて結構大変だったけど、大井松田で感じた「こいつぁヤベえぜ」感は無く、割としっくりきた。次はもうちょい行けるかも?
2本目は号車を変えて2号車をチョイス。若干のハズレ疑念を抱いた4号車のイメージからの一変を期待。
お!やっぱり違う!走り出しからイケる予感!
左に寄っていくヘンなクセは無いし、ステアリングも軽くてスムーズ。同じN35でここまで違うのかよ。これはタイム大幅短縮のアタックチャーーーンス!
…と思ったけど、良い感じだったのは脳内だけ。タイムは案外縮まらず。
ベストは40秒918。
単にステア特性が異なるだけで、マシン自体の潜在能力に違いは無いようですわ(汗)
タイムには現れなくとも、自分にフィットするかしないかで操り易さも疲労度も全く違う。セッティングって大事なんですねー。
1ラップのみだが、なーんとか40秒台にもってこれて満足。楽しかったー!
ふぅーー。
と余韻に浸っていたその時、ハタと思い出した。そーいやKT乗車条件の42秒をクリアしているじゃあありませんか。意外にハードル低いやん?ひょっとして乗れちゃうかも??
一応受付に戻って壁を見渡してみるが、残念ながら「KTレンタルしてまっせ!」の告知などカケラも無い。そりゃそうだ。N35レンタルの価格表すら無いんだもん。
ひょっとしてサイトは大昔の情報が残ってただけ。とか?いやまさか、このご時世にそんなこたぁ無いよな。
恐る恐るおじ様に聞いてみる。
「あのぉー、レンタルってビレルだけですか?速いのとかあるんスかね?」
「ああ、コレ以外にKTってのがありますよ。今は用意してないけど、予約してもらえれば乗れます。」
おお…!
やっぱりいらっしゃるようですKT!!よかった!!
し、しかしやっぱり、予約せよ…と。
ぐぬぬぅ…。
ここで「わかりました!」って言っちまうと、これで会話が終わってしまう。
ここはもうひと押し。
「今日、乗れませんかね?滅多に来れないので。」
「あー。ええ。じゃあ少し待ってもらいますけど、メンテの時間を貰えれば、乗れますよ!」
おおっ!!!
「待ちやす!私、喜んで待たせて頂きやす!!!」
フラリと現れた一見客に温かく応対してくれるおじ様、素敵っス!!!
しばし、東コースのドリフターズの皆様の走りを堪能している間に時は流れ、いよいよKT様とご対面。
ああ…やっとKT様に乗れるのですね。感激っす!
ケツの青いズブのド素人ですか、宜しくお願いします!KT 様!!
マシンはウィンフォースのフレームにKT100エンジンというエントリー向け(なのであろう)組み合わせ。割と年季が入っている感アリだが、何はともあれコイツは紛れも無くKTなのである。
なおタイヤはレンタル用を履いているとのこと。
「ビレルと違って軽いから、ちょっとハンドル切ればクイックに曲がります。タイヤもレンタル用だから、お気をつけて。」
わかりやした!充分警戒して走らせて頂きやす!
心地よい緊張感でスタートボタンをポチっ。
「ブァーーーーン」ヤンチャな軽い2スト排気音と共にKTが目覚める。
これよ!これこれ!ええやーん。この音!
ゆーっくりピットアウト。初心者なんでね。緊張してるんでね。ぶつけて壊したらダメなんでね。安全運転でございますよ。
とにかく1周目は丁寧に。いやいや確かに軽い!丁寧に走っちゃいるけどコーナーは繊細。こりゃ気を抜くと、いや、気を抜かずとも一歩間違えればすぐスピンしそうだぜ。
メインストレートに戻って来て、思いっきりアクセルを踏んでみる。
「ブァーーーーーーーン!!!」
これよ!これこれ!ええやーーん。この音!
とても100ccとは思えない盛り上がるパワー。どんどん伸びていくような感覚。
ヒャッハーーー!これは気持ちエエわ!たまりまへん。
恐る恐る、徐々にペースを上げていく。
挙動はシビアだが、めっちゃ楽しい!あかん!なんかもう、こいつに乗るともうN35に戻れんかも。
楽しさの次元が違うわ。
一瞬で10分が終わった。夢心地の10分。新たな世界の入り口を体験してしまった。
コーナーは丁寧に運転して(スピンしたけど…)、直線だけ単純に踏んでコースをなぞっただけのタイム。これだけでもN35より3秒以上縮まった。
速い常連さんはこのマシンで33秒台で走るという。ひえーー。凄いですわ。
今回は1回だけの体験走行にとどめたものの、これでめでたくKT童貞を卒業。ハラハラしながらも、無事に筆下ろしを完了致しました(笑)
いやぁー。レーシングカートが欲しくなってしまいますね。
初体験を捧げた茂原ツインサーキット。これはもう、特別な感情を抱かざるを得ない。通うかな。
(なんだかキモい表現ですみません)
公式サイト
[独断と偏見評価](N35目線)
難度★★★☆☆
度胸度★★★☆☆
爽快度★★★☆☆
コスパ★★☆☆☆
ホスピタリティ★★★☆☆